研究課題
レーザー爆縮におけるアブレーションプラズマの非局所熱輸送が流体不安定性に及ぼす影響に関する数値シミュレーションを行うため、鍵となる2次元非局所電子熱輸送計算コード、並びに2次元爆縮流体コードを完成させた。2次元非局所熱輸送コードに関しては、フォッカープランク方程式に基づき、電子の速度分布関数をルジャンドル展開により実空間2自由度、速度空間2自由度で記述し、実空間方向の移流拡散に、関するシステム方程式を対角化することにより高精度移流スキームを用いた非局所電子熱伝導開発し、高精度かつ高速の計算が可能となった。これにより実空間2次元で、数ナノ秒にわたる爆縮時間についての非局所熱輸送を高精度にシミュレートすることができるようになった。また、物理的には2次元にすることにより磁場の発生及び磁場が熱流に与える影響を考慮することが可能になり、現在、定量的な評価を行っている。2次元爆縮流体コードに関しては基本となる流体、輻射輸送、電子熱輸送に加え、2次元レーザー光線追跡コードを完成させた。これにより2次元の密度分布に応じたレーザー光線の屈折が計算できるようになり、密度擾乱が存在するプラズマにおけるレーザー吸収分布が計算できるようになった。以上、2次元非局所電子熱伝導コード、並びに2次元爆縮流体コードを組み合わせることにより、本研究目的である、「非局所熱輸送による流体不安定性の安定化機構」をシミュレートする数値計算環境が整った。現在、開発したコードで熱流と密度擾乱との相互作用の素過程を調べながら、コードの計算精度確認を行っており、有限差分法にもとづく従来のスキームに比べ、高精度、高速化が確かめられた。
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