本研究では、レーザーアブレーションにより発生させたパルス衝撃波を物質に照射し、高圧非平衡状態の出現により誘起される様々な分子プロセスのダイナミクスを分光学的に計測できるシステムの開発を目的としている。 H16は下記の研究を遂行した。 i)時間分解発光スペクトル計測システムの開発: 衝撃波発生様のパルスレーザーの発振と時間ゲート付測光器(CCDカメラ)を組み合わせ、レーザー発振と時間ゲートを同期させることにより衝撃波照射条件下での分子ダイナミクスを、時間分解発光スペクトル測定により、追跡できるシステムの開発を行った。時間分解能は100ns以下であり、スペクトル波長分解能は2nmである。有機固体の摩擦発光の時間分解計測に成功した。 ii)時間分解吸収スペクトル/拡散反射吸収スペクトル測定システムの開発: 衝撃波発生様のパルスレーザーの発振とストロボフラッシュランプの点灯タイミングを同期させることにより、衝撃波照射条件下での時間分解吸収スペクトル/拡散反射吸収スペクトルを取得できるシステムの開発に成功した。時間分解のは1μsである。現在、有機固体の摩擦発光において発生する短寿命化学種(ラジカルカチオンなど)の検出とその追跡を行っている。
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