研究課題
本研究課題で開発した新しい2重共鳴分光装置を用いて、炭素鎖分子の分子構造や電子構造におけるハロゲン置換効果を見出した。さらに、本装置を用いてこれまで知られていなかった酸素原子からなる鎖状分子の検出に成功し、その分子構造を始めて決定した。これらの業績について以下に概説する。研究実績[1]ハロゲン原子(塩素原子)のような電子親和性の強い原子が結合することで、炭素鎖分子の電子構造や炭素骨格の幾何学構造が大きく変化することを見出した。更にこの傾向は炭素骨格が長くなる事で増長されることも新たに確認した。最も単純なCCClでは2つの電子状態が塩素原子の強い電子親和力で近接することが、我々の以前の研究で明らかになっていたが、今年度新たに炭素骨格が伸びたCCCCClのマイクロ波分光を行い、電子状態の混合がより促進され、電子基底状態の近傍でConical intersectionを起こしていることを明らかにした。研究実績[2]これまで全く知られていなかった、酸素原子を基本とする鎖状分子の検出に成功し、初めて分子構造に関する知見を得た。これまで知られている酸素鎖分子は酸素原子2個から成るHOOHやHOOなどのような2酸化物のみであった。今年度の研究でより長い酸素鎖からなるHOOOHやHOOO分子の同定に成功した。これら酸素鎖分子の鎖骨格は、これまでによく知られている炭素鎖分子の結合様式とは全く異なり、通常の共有結合よりもかなり結合エネルギーの小さな、特異な結合を形成していること等を見出した。
すべて 2005
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