金基板上に形成したフェロセニルアルカンチオール自己組織化単分子膜の電気化学反応により、可逆な表面エネルギー、すなわち濡れの制御が可能である。電解質溶液中で通常の電気化学制御に加え、基板平行方向に電位勾配を生じさせることで薄膜基板中に電位勾配を形成した。その結果、基板平面中でのフェロセンの酸化状態の分布が変化し、濡れのなだらかな変化を可逆的に制御することに成功した。 この手法を用いて、基板上に存在する数mmの大きさの油滴を水中で任意の方向へ、任意の距離動かす事に成功した(発表論文Langmuir)。また、幾何学的に電極パターンを非対称とする事で、濡れの変化に伴う液滴の変形を非対称とし、単純な濡れの変化の繰り返しにより一方方向へ液滴が進む新たな液滴の駆動方式を開発した(発表論文Colloids and Surf.A)。これらの液的内部にガラス等のマイクロビーズをおき、液滴を動かしたときにビーズが液滴内部に閉じ込められたまま動く事がわかった。この事から、液滴は固体を運ぶための容器として利用する事が可能であり、本研究で開発した液滴の駆動方式は固体を駆動するのに十分な動力を発生している事がわかった。
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