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2006 年度 実績報告書

固体表面を利用したレーザー法による同位体分離の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16750021
研究機関独立行政法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

佐伯 盛久  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (30370399)

キーワード同位体分離 / レーザー法 / 固体表面 / 紫外光 / 芳香族化合物 / クロロベンゼン
研究概要

同位体分離は重水の製造に代表されるように様々な産業分野で利用される技術であり、今までに遠心分離法や化学交換法、レーザー分離法が開発されてきた。しかし、これらの手法により効率的に分離できる元素は限られており、同位体研究を発展させていくうえで、新たな分離技術を開発することが必要とされている。そこで本研究では、固体表面に吸着した原子・分子をレーザー照射により光脱離させ、同位体間で光の吸収波長が異なることを利用して分離する技術を考案し、その可能性を追求してきた。
平成16-17年度は、本実験を遂行する上で必要な質量分析装置を備えた真空チェンバーや昇温脱離装置の製作および紫外可変レーザーなどの立ち上げを行うとともに、具体的な実験の指針を決めるための情報収集を行ってきた。情報収集の結果、短波長の光を用いて分子の電子励起準位の振動準位を励起すると効率よく光脱離がおこり、かつ、分子をうまく選べば同位体選択的に光脱離できる可能性があることがわかってきた。そこで、平成18年度は紫外光に対して高い吸収効率をもつフェノールやクロロベンゼンなどの芳香族化合物を対象とし、それらの分子を冷却した金やシリコン、カーボン基板に吸着させて紫外レーザーによる光脱離実験を行った。その結果、いずれの系でもレーザー光による光脱離が可能なことを確認した。特に、金基板上に吸着させたクロロベンゼン(C_6H_5Cl)分子の光脱離強度の時間変化を調べてみると、レーザー照射後すぐに分子が脱離する過程とゆっくりと脱離が始まる過程があることがわかった。早い過程は励起エネルギーを保持したまま飛び出す分子に、遅い過程は励起エネルギーを周囲に分配した後、蒸発していく分子に由来するのではないかと考えている。また、光脱離シグナルのレーザー強度依存性を調べることにより、レーザー強度があるしきい値を超えると光脱離したクロロベンゼンが観測され、その後はレーザー強度に比例して光脱離シグナル強度も増えていくことがわかった。さらに、分子の吸着条件やレーザーの照射条件を調整することにより、257.5-262.5nmの領域においてブロードではあるが波長依存性のある光脱離スペクトルを再現性よく測定することができた。最後に、クロロベンゼンのC_6H_5^<35>ClとC_6H_5^<37>Clの同位体間で光脱離スペクトルを比較してみたが、明らかな違いは観測されず、現状では同位体分離は難しいことがわかった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Structure of the Jet-cooled 1-Naphthol,Dimer Studied by IR Dip Spectroscopy : Cooperation between the π-π Interaction and the Hydrogen Bonding2007

    • 著者名/発表者名
      佐伯盛久, 石内俊一, 酒井誠, 藤井正明
    • 雑誌名

      Journal of Physical Chemistry A Vol. 111

      ページ: 1001-1005

  • [雑誌論文] Theoretical study of structure and vibrational motion of naphthalene dimer2006

    • 著者名/発表者名
      佐伯盛久, 赤木 浩, 藤井正明
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Theory and Computation Vol. 2

      ページ: 1176-1183

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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