研究概要 |
1)ヒドリンダセンジアミド誘導体のアロステリック会合に基づく超分子ポリマーの構築 正のホモトロピックなアロステリック会合能を有するヒドリンダセンジアミド体と、相補的な水素結合パートナーとなるレゾルシノール1分子もしくは2分子を連結したモノマーユニット1、2の合成を行い、核形成・伸張プロセスに基づく超分子ポリマー構築を検討した。1はCDCl_3中、望みとする自己会合様式に基づく2量化が認められた。また、1へのゲスト添加による会合能の制御を検討した。2は固相中で多点水素結合に基づく3次元ネットワークが形成されていたが、溶解度に乏しく、溶液中での会合能調査は今後の検討課題である。 2)ヒドリンダセンマクロサイクルによる分子認識能およびナノチューブ構造への集積 酸素官能基化ヒドリンダセン誘導体3の酸化還元電位を調査した。また、3を基本骨格としてもつマクロサイクル外縁部の側鎖修飾を行い、極性溶媒中での自己会合能調査を行った。トリエチレングリコール鎖を有する3はMeOH/H_2O中で自己会合が認められた。 3)2,6-ジアリールジヒドロインダセンの合成とその分光学的特性の調査 これまで合成例のなかった2,6-ジアリールジヒドロインダセン誘導体を合成し、蛍光など分光学的特性を調査した。現時点では1,5-および1,7-ジヒドロ体の区別がついていないものの、効率のよい蛍光色素となることが確かめられた。 4)ヒドリンダセンを軸分子とするロタキサン構造の構築とその特性 ヒドリンダセンを軸分子とし、環状分子と可逆なイミン結合によって連結された動的共有結合連結型ロタキサン4を合成した。これらはイミン結合時には環が固定され、加水分解により環が自由度を有する[2]ロタキサンへと変換される。4の加水分解による動的挙動の制御を検討し、酸性加水分解条件で平衡状態をとることが示唆された。現在、平衡挙動の調査、制御を検討している。
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