研究概要 |
これまでに折れ曲がった二座配位子とPd(II)イオンから、M_<12>L_<24>組成の中空錯体が定量的に自己集合することを報告している。本年度は、球状錯体の表面および内面を官能基化することにより機能の発現を目指した。 1,3-ビス(4-ピリジル)ベンゼンに、エーテル鎖を介してガラクトースを連結した配位子を合成した。これとPd(NO_3)_2をDMSO中で2:1の比で混合することによって、表面に24個のガラクトースを集積した球状錯体が組みあがることを見出した。^1H NMRおよび各種二次元NMRから、錯形成後もすべての配位子が等価に観測され、対称性の高い巨大な構造体が構築されたことが示された。また、CSI-MSによって、M_<12>L_<24>組成に帰属される多価イオンピークが観測され、立方八面体の対称性を有する構造体であることが支持された。 アセチレンスペーサーをもつ配位子1,3-ビス(4-ピリジルエチニル)ベンゼンの2位に、メチル基やベンゾニトリルを導入することにより、官能基を内部表面にもつ球状錯体の自己組織化を達成した。また、エチレングリコールを導入した配位子とPd(CF_3SO_3)_2を2:1比で混合することにより球内部においてエチレングリコール鎖が擬ナノ粒子構造に密集したM_<12>L_<24>錯体が、一義構造として定量的に組み上がった。また、この錯体はCa(II)イオンをはじめとするアルカリ土類金属イオンおよび各種ランタノイドイオンと相互作用することが分かった。^1H NMR測定で、エチレングリコールに由来するピークだけが低磁場シフトすることから、金属イオンは錯体内部に取り込まれていることが示された。また、job's plotを行ったところ、錯体は24個のLa(III)イオンを包接することが示唆された。
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