研究課題
120度に折れ曲がった二座配位子とPd(II)イオンから、M_<12>L_<24>組成の球状カプセル構造が定量的に自己集合する。また、この球錯体を構成する配位子骨格にポリエチレングリコールやポルフィリン、フラーレンなどの機能性官能基を導入することにより、錯体ナノ表面・内面にこれらの官能基を一挙にかつ精密に配置できる。本年度は、配位子を精密に設計することにより、M_6L_<12>組成の直径3nmの正八面体対称の立方体構造、およびM_<18>L_<24>組成の錯体表面が密閉した球状錯体が組みあがることを見いだした。また、錯体表面へのπ系有機分子の官能基化にも成功した。90度の角度を有する二座配位子とPd(NO_3)_2から、M_6L_<12>組成の立方体型カプセルが定量的に自己集合することが分かった。立方体の6つの各面の中心を各辺が結んだ形であり、辺の数12と頂点の数6が、それぞれ配位子と金属イオンの数に相当する。一方、三座配位子とPd(NO_3)_2を2:1の比率で混合すると、まずM_<12>L_<24>組成の球状骨格が生成する。Pd(II)イオンをさらに加えると、残っているピリジル基が架橋し、最終的に4:3の時にM_<18>L_<24>組成の球状構造に一義的に収束することが示唆された。すなわち、三座配位子の錯形成は、段階的に進行していることが分かった。二座配位子にピレンなどのπ系有機分子を導入することにより、錯体表面への24個の官能基導入を達成した。これらの官能基による光物性や光反応についても検討を行った。これらの構造体が単一成分で形成されることが、^1HNMRですべての配位子が等価に観測されること、低温スプレーイオン化質量分析によりそれぞれの組成が明瞭に示されたこと、およびNMR DOSYスペクトルにより分子径が求まったことから示された。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
Angew.Chem., Int.Ed. 45・2
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Chem.Eur.J. 12(印刷中)
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