本年度は、これまでに開発したホルムアルデヒド認識試薬(KD-XA01、KD-XA02)を改良したKD-XA03の設計・合成し、その特性について評価した。KD-XA03は、ホルムアルデヒドと特異的に反応するエナミノン部位と、反応後に可視領域に吸収帯が現れるようにナフチル基を併せ持つ骨格を有している。KD-XA03とホルムアルデヒドおよび他のアルデヒド類、ケトン、アルコールなどとの反応性について、吸収スペクトル測定を用いて評価した。 KD-XA03はホルムアルデヒドと反応した時のみ、溶液中の色が薄黄色から赤色へと変化した。一方、妨害となるアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ケトン類、アルコール類などを添加した時、色変化は生じなかった。また、KD-XA03が、ガス状態のホルムアルデヒドと反応するかどうかを確認するために、KD-XA03をろ紙の表面に包括し、これらのガスを接触させたところ、溶液状態のときと同様に、ろ紙の表面は薄黄色から赤色へと変化したまた、室内濃度指針値である0.08ppm以下のホルムアルデヒドを検出することが出来た。 また、ホルムアルデヒドとアセトアルデヒド共に反応する試薬(KD-XA04)を設計・合成し、その特性を評価した。ホルムアルデヒドあるいはアセトアルデヒドと反応すると、溶液の色が無色透明から青色へと変化した。さらにKD-XA04が、ガス状態のホルムアルデヒドあるいはアセトアルデヒドと反応するかどうかを確認するために、KD-XA04をろ紙の表面に包括し、これらのガスを接触させたところ、溶液状態のときと同様に、ろ紙の表面は白色から青色へと変化した。
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