本年度は、ホルムアルデヒドをより高感度に定量できるような呈色試薬および検知タブ(試薬を浸み込ませた錠剤)の開発を行った。今回開発した呈色試薬(KD-XA004)は、これまでに開発したホルムアルデヒド認識試薬(KD-XAO1、KD-XA02)の二倍近くの反応速度で反応した。また、開発した試薬を紙に塗布することで、アルデヒドを含む気中で無色から黄色に変色する試験紙を作成することができた。この試験紙を検知タブに組み込むことで、公定法として定められているHPLC法と高い相関で基準値0.08ppm以下のホルムアルデヒド濃度を測定することに成功した。 さらに、この検知タブにルーペを付けることで、容易に色の濃さ(=濃度)を知ることができた。検出下限値は0.01ppmで、指針値である0.08ppmもはっきりと判別できるため、検知管などに代わって現場での使用も可能になることが明らかとなった。 さらに、ホルムアルデヒドとアセトアルデヒド共に反応する試薬(KD-XA05)を設計・合成し、その特性を評価した。ホルムアルデヒドあるいはアセトアルデヒドと反応すると、溶液の色が無色透明から青色へと変化した。さらにKD-XAO5が、ガス状態のホルムアルデヒドあるいはアセトアルデヒドと反応するかどうかを確認するために、KD-XA05をろ紙の表面に包括し、これらのガスを接触させたところ、溶液状態のときと同様に、ろ紙の表面は白色から青色へと変化した。さらに、ポータブル測定器を用いた検出デバイスに適用したところ、良好な結果が得られた。
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