研究概要 |
本研究では、本研究代表者が行ってきたN,N-二置換ヒドラジンとカルボニル化合物から容易に調製されるヒドラゾンを配位子として用いる触媒的有機合成を応用し、触媒的炭素-炭素結合形成反応においてTONが10000以上になるような極少量のパラジウム触媒の開発を行うことを目的とした。さらに実用的触媒として、容易に再使用が可能な触媒の開発を行うことにより、環境に優しい高率的反応の実現を指向し、学術的および工業的の両面から価値のある超高活性パラジウム触媒の開拓を行うことについても検討を行う。 本年度において、これまでに得た知見(Synlett 882-884(2003))を基に配位子の最適化を行ったところ、フェニルメチルヒドラジンおよびグリオキサールから誘導したビスヒドラゾンを配位子とするパラジウム錯体を用いることにより、触媒量が基質に対して0.0005当量においても、室温におけるハロゲン化アリールとアリールボロン酸を反応基質として用いるSuzuki-Miyaura反応が容易に進行することを明らかにした。また通常反応が進行し難い芳香族塩化物との反応も加熱条件下、進行することが明らかとなり、超高活性なヒドラゾン-パラジウム触媒を開発することができた。 さらに現在、新たなパラジウム触媒反応としてハロゲン化アリールとα,β-不飽和カルボン酸誘導体を反応基質として用いるMizoroki-Heck反応についても検討しているところである。
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