研究概要 |
シクロファンはその特異な構造から、基礎から応用に至るまで幅広い研究が行われてきた。しかし、その合成は多段階かつ低収率であるため、標価化合物の供給が著しく困難であった。こうした背景から、研究代表者らが見い出した、ロジウム/H8-BINAP錯体触媒による末端アルキン2分子とアセチレンジカルボン酸ジエステル1分子との交差環化三量化反応を、シクロファン合成へと応用した。その結果、この交差環化三量化反応にα,ω-ジインを用いることにより、1段階にて良好な収率で[7]-[15]メタ及びパラシクロファンが得られることを見い出した。この反応により、一般に売られている試薬から全2行程でシクロファン合成が可能となった。一方、面不斉を有する光学活性シクロファン合成は、光学分割による方法が数例報告されているのみで、エナンチオ選択的合成はこれまで報告されていなかった。そこで次に、アルキンの不斉交差三量化反応による光学活性シクロファンの合成を試みた。その結果、配位子として(S)-H8-BINAPを用い、対称な末端α,ω-ジインと非対称電子不足モノインとを室温で反応させると、面不斉を有する光学活性[7]-[10]パラシクロファンが最高70%eeで得られた。また、配位子として(S)-DM-H8-BINAPを用い、対称な内部α,ω-ジインと対称電子不足モノインとを室温で反応させると、光学活性[6]-[9]メタシクロファンが最高83%eeで得られた。現在、更なる光学収率の向上を目指して検討中である。
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