研究概要 |
有機ホウ素、亜鉛、インジウム等のオルガノメタロイドは、水共存下でも比較的安定にルイス酸として作用することができる。従って、これらの特性と遷移金属触媒作用を組み合わせると、それぞれ単独で用いた場合には見られない新たな反応性や機能性が期待できる。本研究では、トリエチルホウ素が水中で失活しにくい性質を利用し、水共存下でも進行するホモアリル化反応を新たに見出した。 具体的には、ニッケル触媒存在下、デオキシリボースやアラビノース等の単糖類とイソプレン又はブタジエン等の共役ジエンをトリエチルホウ素と共に反応すると、糖類に対するホモアリル化反応が進行し、ビスホモアリルアルコール骨格を含むポリオールを与えた。同条件下、一級アミシ存在下で反応すると、系中で発生したN, O-アセタールに対するホモアリル化反応が進行し、ビスホモアリルアミン骨格を持つポリオールを与えた。反応は水を溶媒に用いても進行することから、糖類の有機溶媒に対する溶解性に関わらず、糖類のホモアリル化反応が室温で速やかに適用できた。反応はアルデヒドやケトンを用いた場合と同じく高い位置及び立体選択性を示し、生成物は高い1,3-ジアステレオ選択性を示した。 ジエチル亜鉛を促進剤に用いると、アミンとアルデヒドから直接調製したアルドイミンに対するホモアリル化が進行し、相当するビスホモアリルアミンを立体選択的に与えた。 このように、有機ホウ素、亜鉛を促進剤に用いると、水存在下でも糖、アルドイミン、N, O-アセタールに対するホモアリル化反応が高選択的に進行することを発見した。本反応はポリオールやアミノアルコールを活性部位にもつ種々の生理活性物質合成の効率合成法として期待できる。
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