研究概要 |
Well-defined触媒であるRh-ビニル錯体は,フェニルアセチレンの重合反応に高い活性を示し,その重合反応はリビング重合であることが既に明らかにされている.この触媒を用いN-プロパルギルアミドモノマーの重合挙動を詳細に検討した.N-プロパルギルアミドモノマーとしてHC≡CCH_2NHCO^iPrを用い重合を行った場合,高収率で比較的分散比の小さい高分子量のポリマー(Mn=17300,Mw/Mn=1.36)が得られた.重合温度0℃におけるモノマー添加率の一次プロットは直線性を示し,モノマーの2次添加においても添加率100%を示すなど本触媒系がプロパルギルアミドモノマーの重合反応において良好なリビング性を示すことが明らかとなった. また,これまでに知られている置換アセチレン重合触媒のモノマー適用範囲を拡大するため以下を検討した.これまでに知られている置換アセチレン重合反応に用いられる遷移金属メタセシス触媒は,モノマーの三重結合部位だけでなく極性官能基に対しても非常に反応性が高い,すなわち極性官能基を導入したモノマーは触媒活性種の失活により重合反応が進行しないことが知られている.従って重合中の触媒活性種の失活を防ぐため,モノマーの官能基をかさ高い置換基により保護することを検討した.具体的には,パラ位にOSiMe_2^tBuを導入したジフェニルアセチレンをモノマーとし,これまでに知られているメタセシス重合触媒TaCl_5/^nBu_4Snを用いることによって重量平均分子量400万以上の高分子が得られた.この高分子をトリフルオロ酢酸/水中で反応させることによって脱保護を行い,ポリマー側鎖中のシロキシ基をヒドロキシル基へと定量的に変換することで,これまでの触媒系では合成不可能であった極性官能基を有する置換ポリアセチレンを合成することに成功した.
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