標的分子を特異的かつ高感度で検出するための機能性材料構築を目指し、蛍光標識モノクローナル抗体および抗体と金属粒子(金ナノ粒子あるいは磁気ビーズ)とのハイブリッド材料を合成した。蛍光標識抗体を用いた標的分子の高感度検出システムの開発、および金属粒子表面にモノクローナル抗体を固定したセンシング材料を用いた簡便な標的検出システムの構築を行った。 1.蛍光標識抗体を用いた標的分子の高感度検出システム トリニトロトルエン(TNT)を特異的に結合するモノクローナル抗体のFabフラグメントを調製し、蛍光物質を化学修飾した。TNT誘導体を固定したカラム担体を合成し、ここに既知量の蛍光標識TNT抗体Fabフラグメントと濃度可変したTNTとを混合したサンプルをチャージした。溶出した物質に由来する蛍光強度をモニターすることにより極微量のTNTを定量的に検出することに成功した。TNT誘導体を磁気ビーズに固定し、上記サンプルを混合して系中のTNTを検出するシステムについても試行した。 2.モノクローナル抗体-金属粒子ハイブリッド材料を用いたバイオセンシングシステム 金ナノ粒子表面にモノクローナル抗体を物理吸着させたハイブリッド材料および磁気ビーズ表面に2次抗体と酵素を同時に化学修飾した材料を調製した。特に磁気ビーズと抗体/酵素とのハイブリッド材料を用いることにより、酵素標識抗体測定法において、2次抗体に結合している酵素由来の反応生成物と別種酵素に基づく反応生成物のダブルセンシングが簡便に行えることがわかった。
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