本年度は、従来の方法では困難であった分子にも適用可能な新規単分子層構築法としてグリニャール試薬を用いた(光)電気化学法を検討した(1)。またシリコンの半導体特性と金属ナノ粒子の高い触媒活性を、有機単分子層からなる絶縁層を介して効果的にカップリングさせた新たな光電変換デバイスの開発を行った(2)。以下に成果を示す。 1.シリコン単結晶表面上有機単分子層の(光)電気化学的構築 電極として水素終端化p型シリコン単結晶表面、溶液としてグリニャール試薬(C_<18>H_<37>MgCl)のTHF溶液を用いて、単分子層の形成過程、配向性について電極電位依存性を検討した。電極を正電位側に掃引すると単分子層形成反応が進行したが、反応の電流効率が低く、また高電位になるほど溶媒の分解等により効率が低下した。またn型シリコンを電極とし、レーザーによる可視光照射による光電気化学法により、マスクを用いたサブミクロンスケールでの単分子層パターニングに成功し、またこのパターン表面への金属層の選択的析出にも成功した。 2.有機単分子層修飾シリコン単結晶表面への金属ナノ粒子担持と光エネルギー変換 n型水素終端化シリコン単結晶表面に4-ビニルベンジルクロライドを単分子層として導入し、N-メチル-4-(4'-ピリジル)を作用させることで、電子伝達体であるビオロゲン修飾シリコン電極を作成した。電極を負電位側に掃引すると水素発生電流が、水素終端化シリコン電極より正電位側から流れ始め、ビオロゲンが効果的に電子移動を促進していることを見出した。またビオロゲン修飾シリコン電極を塩化白金酸カリウム溶液に浸漬し、吸着したPtCl^<4->を水素還元することで白金微粒子を導入した、白金担持ビオロゲン修飾電極ではさらに正電位側から水素発生電流が観察され、白金が触媒として機能することが証明された。またp型シリコンを用いた光照射下でも同様な結果が得られた。
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