研究概要 |
4,4,4-トリフルオロ-3-{4-(4-メトキシフェニル)フェニル}ブタン酸(TFMBBA)を新規に合成してこれを光学分割し、光学活性なTFMBBAから誘導されるらせん誘起材料について次のことを検討した。すなわち、1)キラル部位とコア部位との結合様式,2)コア上の置換基の置換位置,3)分子内に2つのTFMBBA部位を持つ場合,4)キラル部位の末端側鎖長などがらせん誘起力(Helical Twisting Power : HTP)へ与える影響について検討した。 1)キラル部位とコア部位の結合様式の検討より、ケトン結合型らせん誘起材料が最も大きなHTPを発現することが分かった。2)置換基の置換位置の検討より、置換位置によってHTPが大きく異なる事が分かり、特に1,4-位置換体が最も大きなHTPを発現する事が判明した。3)2つのキラル部位を持つらせん誘起材料の検討より、対応する1つのキラル部位を持つらせん誘起材料よりも大きなHTPを発現する事が分かり、この場合も1,4-位置換体が最も大きなHTPを発現する事が判明した。しかし、キラル部位を2つとすることでらせん誘起材料がホスト液晶に溶けにくくなり、1wt%の添加量であってもらせん誘起材料が結晶化してしまった。4)2つのキラル部位を有するらせん誘起材料において、キラル部位の末端鎖を長くする事により、ホスト液晶への溶解性が向上し透明点の低下も抑えることが確かめられた。
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