研究概要 |
光学活性な4,4,4-トリフルオロ-3-(6-メトキシ-2-ナフチル)ブタン酸(TFMNBA)を調製し、これを用いて種々のらせん誘起材料を合成した。ホスト液晶であるZLI-1132に添加して、そのらせん誘起力(Helical Twisting Power : HTP)を評価したところ、ビフェニルコア構造とカルボニル基を介して結合させることにより、最も大きなHTP=42.4μm^<-1>を発現することが分かった。考察の結果、HTPにはらせん誘起材料の立体的な因子が大きく影響を与えていることが示唆された。また、シクロヘキサン不斉構造によりビフェニル構造に軸不斉を誘起させたらせん誘起材料について、ビフェニル構造を種々変化させて構造とHTPの関係について検討を行ったところ、ビフェニル部位のコア構造を延長させることによりHTPが増大することが確かめられた。しかしながら、アルキル鎖などの柔らかい基を延長させるとHTPは減少することが判明した。考察により、軸不斉構造の固定化の程度によってHTPが変化することが示唆された。 一方、シクロヘキサン不斉構造をもつらせん誘起材料を添加する実験を行っている過程で、ネマチック液晶相の配向状態が温度に依存して可逆的に変化する現象を見いだした。この現象は、ホスト液晶構造や添加するらせん誘起材料の濃度に依存している。しかしながら、らせん誘起材料の光学純度には必ずしも依存していないことが分かった。
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