単層カーボンナノチューブ(SWNT)を混酸(塩酸+硝酸)で処理して約100-200nmに切断し、続けて塩化チオニルで処理することにより切断面にCOCl基を導入した。この切断したカーボンナノチューブ(SWNT-(COCl)_n)とポリエチレンイミン(PEI)のアミノ基(NH_2あるいはNH基)との反応により、修飾SWNTを合成した。SWNTは有機溶媒や水に不溶であるのに対して、修飾SWNTは極性有機溶媒や水に可溶となった。サイクリックボルタンメトリー測定により修飾SWNTはnドーピングを受けうることがわかった。修飾SWNTの電気伝導度は5×10^<-4>Scm^<-1>とSWNT(10^<-8>Scm以下)よりも高くなった。これはPEIのアミノ基が電子供与性ドーパントとして働き、修飾SWNTが自己nドープを受けているためであると考えられる。実際に、ESR測定によりポリアミン中の窒素原子上の不対電子からSWNTへの電子移動が起こり、窒素ラジカルが生成していることがわかった。さらに、修飾SWNTとp型導電性高分子との接合素子を作成し、電気的性質を調べたところ、電気整流特性が観測されたことから、修飾SWNTがn型導電体をして機能していることがわかった。
|