研究概要 |
美白作用が注目されながら、酸素、光等に対して不安定なハイドロキノンの一般化を目指し、高い安定性と安全性を持つ新規美白剤の開発を主な目的として本研究を進めている。方法として界面活性剤との分子錯体形成を利用している。アルキルトリメチルアンモニウム塩類との分子錯体形成で酸素、光、熱に対して安定性を高められる事は、申請者のこれまでの研究で明らかである。本研究はこれを応用し行っている。 新規美白剤開発では、安定性ばかりでなく安全性の確保も重要である。そこで比較的安全性が高いとされる天然物由来の界面活性剤を選択または合成し、それとの分子錯体形成を試み安全性高いハイドロキノン分子錯体の獲得に努めた。分子錯体の生成確認には、主に紫外可視分光光度計、粉末X線回折装置を用いた。 n-Dodecyl-β-D-maltoside、n-Dodecyl-α-D-glucopyranoside各々との間で分子錯体が生成されることが確認できた。また高い安全性を有すると思われる界面活性剤、糖鎖界面活性剤の合成に努めたところ、1-ο-n-hexadecyl-β-D-blucopyranoside 2,3,4,6-tetraacetateまで得ることができたが、かなりの低収率であるため目標とする最終物の量の獲得に少々の問題点を残している。引き続きこの界面活性剤合成の確立に努めたいと考えている。 得られたn-Dodecyl-β-D-maltoside又はn-Dodecyl-α-D-glucopyranosideとのハイドロキノン分子錯体のうち、比較的、量を確保できたn-Dodecyl-β-D-maltosideとの分子錯体を用いて安全性試験としてヒトパッチテストを行った。 その結果、これまで得られてきた種々界面活性剤/ハイドロキノン分子錯体とも比較し、皮膚への刺激が大変抑えられた分子錯体を得ることができたと思われる。 今後更なる工夫を施し、様々な物性試験、安全性試験を行うための人体適用可能な安全性高い界面活性剤を用いたハイドロキノンとの分子錯体の収率向上に努めたいと考えている。
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