層状化合物であるニオブ酸カリウム(K_4Nb_6O_<17>)は、インターカレーション、光触媒、イオン交換等の機能を有し、電気化学的特性の面においても大変興味深い物質である。そこで1nm以下であるニオブ層間に可視光応答可能な半導体微粒子を導入し新規複合型層状化合物を設計することで、ヘテロ接合による触媒能向上や可視光での光触媒活性、またナノスケールでの微粒子の反応制御などに期待が持たれる。ここで、ニオブ層間を反応場として層間でn型半導体であるCdSおよびP型半導体であるCu_2Oを合成し、その反応性について検討を行った。 層状構造を有し層間距離は9.5Åであるニオブ酸カリウムは水溶液内のイオン交換によって容易にCd^<2+>イオンやCu^<2+>イオンを層間に取り込むことができた。層間内の金属イオンをCd^<2+>イオンについてはチオアセトアミドによって、CdSとし、Cu^<2+>に対しては、ヒドロシシルアミンを利用してCu_2Oの微粒子を作成した。これらの微粒子を層間に含むニオブ酸カリウムを導電性基板上に固定し、電気化学特性を評価した。その結果、ニオブ酸カリウムのみでは観察されなかった可視光での光応答性がみられた。この可視光応答性は、層間内の微粒子半導体によるものであり、CdSではn型半導体の特性を示す酸化光電流が、Cu_2Oではp型の特性である還元光電流が得られた。これらの微粒子は、ニオブ酸層とヘテロ接合を形成することによって、効率の良い電荷分離が可能となり光触媒能向上に期待が持たれる。
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