液体表面あるいは液-液界面は、3次元的物理現象を2次元に投影して観察することができる場であり、物理的に大変興味深い研究対象である。また、界面に固有の2次元現象としても、ある種の両親媒性分子は特定の条件下で液体界面エネルギーを消失させるという不思議な現象を起こすことが知られているが、従来の液体界面観察法では界面エネルギーの低い系を測定することは不可能であった。本研究は、レーザー光の運動量変化を利用して液体界面形状を制御する光液面マニピュレーション法を応用した液体用超低界面エネルギー測定装置を作製し、超低界面エネルギー状態で起こる液体相溶臨界現象を高精度で測定することを目的としている。 本年度は、昨年度に製作した高空間分解能光液面マニピュレーション装置を用いて、特異な液体表面の構造観察・物性測定を行った。表面フラクタル構造の成長過程観察では、構造が成長するにつれて表面波の伝搬が阻害される様子を観察し、伝搬阻害が生じる際の表面波の波数を調べることで、フラクタル構造の特徴的なサイズをリアルタイムで測定することができることを示した。また、粘性率の高いゲルの表面物性測定を行い、レーザー光の集光スポット径による依存性をみることで粘性率と弾性率を分離して測定出来ることを示した。さらに、非接触測定の利点を生かし、電場を印加した液体表面での表面波の伝搬特性を調べ、純水では見かけの表面張力が変化することを確認した。
|