研究概要 |
本研究では、高速回転機構を利用した傾斜機能薄膜作製装置(超高重力場発生装置)を開発し、それを用いて2成分系薄膜物質の組成を傾斜化させる実験を行い、超高重力場が薄膜物質に及ぼす効果について明らかにすることを目的としている。今年度は、まず本研究に使用する真空チャンバーの設計・作製を行い、予定通り7月末より試運転を開始した。真空チャンバー中は1.0×10^<-4>Pa以下まで排気し、高周波モーターの周波数を徐々に上げて高速回転のテストを行った結果、回転数9,000rpmにて24時間以上の安定運転が可能であることを確認できた。しかし、9,600rpmになると共振による振動が激しくなり、短時間の運転も困難であった。また、回転中のサンプルを赤外線ランプで非接触加熱する実験も行ったが、現在の構造では回転円板への熱拡散が大きく、サンプルを十分に加熱することができなかった。9,000rpmで発生可能な重力場はサンプルセット位置では約12,000Gであり、この装置の目標とする100,000Gには遠く及んでいない。9,000rpmにて鉄シリサイド薄膜の組成傾斜実験を行ったが、やはり膜の組成比に変化は見られなかった。そこで、さらに回転数を上げて連続運転を行うため、共振を防ぐ新しいモーター固定用部材を発注し、高速回転円板についても設計を見直し、円板ではなく棒状にすることや、サンプル部分にヒーターを設置して直接加熱する方法、レーザーパルスによる加熱方法などを検討している。
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