研究課題
金やイリジウムといった貴金属はナノ・サイズの超微粒子にすることで、バルク状態とは異なる極めて高い触媒作用を示すことが知られている。その反応機構を解明するためには、触媒の表面・界面の原子構造を解析することが重要であり、特に反応と構造の関係を詳細に調べるためには、反応している状態そのものを観察・解析することが不可欠である。そこで、高分解能透過電子顕微鏡の内部に、真空から隔離されたカプセル(環境セル)を組み込んだ実験システムを構築し、反応雰囲気中で触媒表面・界面の変化を直接かつ動的に解析することを目的に研究を進めている。本年度の研究成果の概要は以下の通りである。1.高分解能透過電子顕微鏡用の環境試料ホルダーの開発触媒試料に反応ガスを循環することができる電子顕微鏡用試料ホルダーを設計・試作した。本装置のシール性能、耐震性能の検証実験を実施し、充分な性能が得られることを確認した。2.反応ガス導入出ユニットの開発上記の試料ホルダーに反応ガスを導入出するための装置ユニットを設計・試作した。本装置の排気特性、圧力調整性能の検証実験を実施したが、現状では配管の低コンダクタンスのため充分な性能が得られておらず、鋭意改良中である。3.高耐圧性の極薄カーボン隔膜の作製上記の試料ホルダーに設置するカーボン隔膜の最適な作製条件を検討した。この隔膜には電子線に対する透過性能と反応ガス圧力に耐えられる耐圧性能が要求されるが、これらを充分に満たす隔膜の作製に成功した。また、本実験のために、隔膜の耐圧性能を調べるチェック装置も設計・試作し、その機能性を確認した上で稼働中である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
ULTRAMICROSCOPY 102・2
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