研究課題
金やイリジウムといった貴金属はナノ・サイズの超微粒子にすることで、バルク状態とは異なる極めて高い触媒作用を示すことが知られている。その反応機構を解明するためには、触媒の表面・界面の構造を、反応している状態で観察・解析することが不可欠である。そこで、高分解能透過電子顕微鏡の内部に、真空から隔離されたカプセル(環境セル)を組み込んだ実験システムを構築し、反応雰囲気中で触媒表面・界面の変化を直接かつ動的に解析することを目的に研究を行った。本年度の研究成果の概要は以下の通りであり、最終年度のため、本研究の総括に相当するものである。1.高分解能"環境セル電子顕微鏡システム"の完成触媒試料を反応ガス雰囲気に出来る"環境セル試料ホルダー"および、そこにガスを送る"ガス導入出ユニット"を設計・試作し、性能評価実験の後、改良を行った。最終的に、試料に大気圧ガスを導入してもガス漏れを起こさないシステムを完成させることに成功した。2.高耐圧性の極薄カーボン隔膜の新規作製方法の開発上記の試料ホルダーに設置する高耐圧・極薄カーボン隔膜の新規作製方法を確立した。その結果、厚さ8mmで、1気圧差に耐えられる膜の作製に成功し、高分解能化に大きく貢献した。3.ナノ金触媒の反応中その場観察完成したシステムを用いて"ナノ金触媒"の反応中の様子を電子顕微鏡で直視観察した結果、ナノ金粒子の形状が反応ガスを導入することで変化することを明らかにした。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Journal of Electron Microscopy 55・1
ページ: 27-30
NUCLEAR INSTRUMENTS & METHODS IN PHYSICS RESEARCH SECTION B-BEAM INTERACTIONS WITH MATERIALS AND ATOMS 248・2
ページ: 273-278