研究概要 |
本研究計画を大別すると,1.遠赤外領域から中赤外領域への時間領域分光システムの拡張,2.偏光変調を用いた時間領域分光システムの構築,である.初年度である今年度(平成16年度)は,申請者が経験しているテラヘルツ波領域で時間領域分光システムを立ち上げることを第一到達目標とした. まず,テラヘルツ波の発生および検出に用いるフェムト秒レーザー装置を組み立て,時間幅:45fs,繰り返し周期:90MHz,平均出力:700mWの性能を安定に得る事ができた.そのレーザーを使用して,テラヘルツ波領域における透過型の時間領域分光システムを立ち上げ,0.01THz〜7THzまでの広範囲な分光光源を得る事ができた.そして,偏光変調法を取り入れた反射型時間領域分光システムに取り組み,その第一段階として,測定システムに必要なワイヤーグリッド偏光子を作製した.そのワイヤーグリッド偏光子を用いて,研究計画書に記載した偏光状態の異なる2つのテラヘルツ波光源を時間的に分離した状態で計測する事を可能にした.これにより,(通常p偏光とs偏光の2回測定する必要があるが)1回の測定で解析を行う事を可能にした.以上の立ち上げたテラヘルツ波領域の時間領域分光測定システムを用いて,これまで詳細な計測が行われていなかった樹脂やセラミックス,ゴム,そしてガス分子などの計測を行った.その詳細については,紙数の関係で省略する.また,以上の成果を平成16年秋季応用物理学会で報告をおこなった.
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