研究課題
1.Quasicontinuum法による転位と粒界の相互作用シミュレーション(1)独自に開発した原子領域と連続体領域を滑らかに結合するQuasicontinuum法を用いて転位と粒界の相互作用をシミュレーションするための3次元解析モデルを作製した。解析モデルは2つの異なる方位を持つ結晶粒から構成されており(粒界方位差は約13度であり、低傾角粒界である)、片方の結晶粒中に転位源としてき裂を導入している。全てを原子モデルで表現した場合1600万原子必要なのに対して、本解析モデルでは160万原子で表現でき、自由度が約10分の1に減少できている。せん断変形を与え、共役こう配法でエネルギーを最小化させると、き裂先端より複数の転位が生じ、転位のすべり面に垂直に存在する粒界にパイルアップし、隣接粒内に応力集中が形成していることが確認できた。さらに粒界方位差を変化させることで、粒界性格と転位のパイルアップ機構の関係を検討する。(2)2次元モデルにより要素の再分割を行なうプログラムを開発した。これを三次元に拡張することにより、粒界から転位が生じる場合、予め転位の運動を予測して原子領域を準備する必要がなくなり、連続体領域中で転位が発生しそうな領域を逐次原子領域に再分割することが可能になると考えられる。2.分子動力学法によるナノ多結晶体の変形シミュレーションランダムな結晶方位を持つ複数のナノ結晶粒により構成される擬2次元モデルを作製し、分子動力学法により引張りシミュレーションを行なった。特別粒界(Σ3粒界)の粒界方位差に近い粒界は、双晶界面とそれをつなぐ乱れた構造により構成されており、乱れた構造は、転位源となり優先的に転位を発生させることが確認できた。これより、粒界性格は多結晶体の力学特性に大きく影響を与えることを確認し、粒界性格分布を積極的に利用した材料設計の可能性が見出せた。
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材料 54・4(掲載予定)
JSME International Journal, Series A 47・2
ページ: 83-91
Physical Review B 69・21
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日本機械学会第17回計算力学講演会講演論文集
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