研究課題
1.転位を吸収した傾角粒界のアコモデーションメカニズム(Quasicontinuum法:QC法)独自に開発したQC法を用いて、Alの刃状転位と4種類の<112>傾角粒界(方位差粒界:13、30、60、90度)の相互作用シミュレーションを行ない、粒界の転位吸収メカニズムについて検討した。粒界方位差と傾角粒界の構造は密接に関係しており、たとえば方位差が30度の場合、粒界面に垂直と平行なバーガースベクトルを有する2組の刃状転位で表現される。せん断変形下において解析モデル中のき裂より発生した最初の刃状転位は粒界に吸収され、それぞれ異なるメカニズムで粒界に生じる幾何学的ミスフィットを緩和する。30度の場合、粒界転位が粒界内で運動することにより進入してきた転位を吸収し、このとき局所的な粒界すべりが生じる。つまり結晶粒径が小さい場合、三重点(線)間の間隔は狭くなるため、侵入してくる転位を緩和する粒界すべりを生じさせる粒界転位源が多く存在すると考えることができるため、粗大粒に比べて多くの転位が粒界に吸収できると考えれる。2.ナノ結晶における粒界特性と力学特性の関係(分子動力学法)ランダムな結晶方位を有する8個のAl結晶粒を2次元的に配置することで多結晶体モデルを構築する。ここで、結晶方位の配置パターンの異なる2つの多結晶体モデルを考える。2つのモデルは、粒界構造が異なる。それぞれの多結晶体に対して粒径5nmから80nmまでのモデルを用いて引張変形シミュレーションを実行した。それぞれの多結晶体モデルにおいてHall-Petch(HP)の関係から逆HPの関係へ遷移する粒径の存在を確認し、その値は約30nmであることがわかった。またHPの関係が成立する領域では2つの多結晶体モデルの差は小さく、一方、粒界変形が支配的となる逆HPの関係が成立する領域では流動応力と粒径の関係に大きな差が生じた。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
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