• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2005 年度 実績報告書

非局所結晶塑性を考慮した均質化理論に基づく大規模マルチスケール解析

研究課題

研究課題/領域番号 16760064
研究機関名古屋大学

研究代表者

奥村 大  名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70362283)

キーワード均質化理論 / 非局所結晶塑性 / 結晶粒界 / 多結晶金属 / 寸法依存性 / 有限要素法 / 転位論 / ひずみ勾配理論
研究概要

本研究では,非局所結晶塑性を考慮した均質化理論の構築と有限要素離散化を行い,多結晶金属の粒径依存性と非局所結晶塑性の関係を調べた.このためまず,単結晶金属のための非局所結晶塑性を考慮した均質化理論を構築するとともに,効率的な有限要素解析のための離散化を行った.さらに,多結晶金属の問題に理論を拡張し,結晶粒界での付加的な境界条件が多結晶金属の粒径依存性に及ぼす影響を調べた.今年度の研究成果は次のようにまとめられる.
2次元FCC多結晶モデルの有限要素解析では,まず始めに結晶粒界での付加的な境界条件として2つの極端な場合(すべり自由条件とすべり拘束条件)を考えた.この結果として,すべり自由条件では粒界に幾何学的に必要な転位は堆積せず,巨視的特性に寸法依存性はほとんど現れなかった.これに対して,すべり拘束条件では粒界に幾何学的に必要な転位の堆積が生じ,巨視的特性に顕著な寸法依存性が現れた.しかしながら,すべり拘束条件での寸法依存性は初期降伏後の巨視的なひずみ硬化に影響するものの,ホールペッチの関係が示すような初期降伏応力の粒径依存性を再現することはできなかった.そこで本研究では,新たにGurtin-Needleman (2005)によって提案されたDefect-free条件を用いて解析を行ったところ,この条件は変形初期の段階における粒界近傍への幾何学的に必要な転位の堆積を予測し,この結果として多結晶特性にはわずかではあるが初期降伏応力の粒径依存性が現れた.
以上の結果より,多結晶金属の粒径依存性を調べる上で,結晶粒界での付加的な境界条件の及ぼす影響をより正確にモデリングすることの重要性が示された.今回用いた非局所結晶塑性理論における付加的な境界条件の検討は現在でも活発な議論が続けられており,本研究で構築されたマルチスケール解析手法は上述のような研究を数値実験として検証するために非常に有用である.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] 非局所結晶塑性を考慮した均質化理論の構築と有限要素離散化2005

    • 著者名/発表者名
      奥村 大, 東 洋一, 大野信忠
    • 雑誌名

      材料 54・9

      ページ: 909-914

  • [雑誌論文] 非局所結晶塑性を考慮した均質化理論による多結晶塑性解析(粒界でのすべりの境界条件の影響)2005

    • 著者名/発表者名
      奥村 大, 東 洋一, 大野信忠
    • 雑誌名

      計算数理工学論文集 5

      ページ: 25-30

  • [雑誌論文] 多結晶モデルの非局所結晶塑性解析における結晶粒界の影響2005

    • 著者名/発表者名
      奥村 大, 東 洋一, 大野信忠
    • 雑誌名

      計算工学講演論文集 10・1

      ページ: 489-490

  • [雑誌論文] A homogenization theory of nonlocal crystal plasticity for grain boundary in polycrystalline metals2005

    • 著者名/発表者名
      D.Okumura, Y.Higashi, N.Ohno
    • 雑誌名

      Proceedings of 8th US National Congress on Computational Mechanics (USNCCM8) (CD-ROM)

  • [雑誌論文] 多結晶塑性解析における粒界の取扱いとその影響2005

    • 著者名/発表者名
      奥村 大, 大野信忠
    • 雑誌名

      2005年度日本機械学会年次大会講演論文集 8

      ページ: 259-260

  • [雑誌論文] Influence of Grain Boundary Condition on Grain Size Dependence in Polycrystal Plasticity2005

    • 著者名/発表者名
      D.Okumura, K.Sumida, N.Ohno
    • 雑誌名

      Proceedings of International Conference on Computational & Experimental engineering and Sciences(ICCES'05) (CD-ROM)

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi