研究概要 |
(1)無潤滑塑性加工摩擦実験 マグネシウム合金の無潤滑塑性加工の実用化を目指して,コーテッド工具を使用して無潤滑で鍛造摩擦試験を行った.試験結果から,アルミニウム合金の無潤滑塑性加工と同様にDLC(Diamond-like Carbon)コーテッド工具による摩擦低減効果が大きいことが分かった.しかしながら,高荷重を負荷する加工では,DLC被膜に剥離が生じるため,加工面圧が300MPa以上となる場合には,DLCコーテッド工具は使用できないことが分かった. (2)ミスト微量潤滑塑性加工実験 極微量の潤滑油をミスト状に噴霧したアルミニウム合金の鍛造加工において,ミスト潤滑量が摩擦,加工荷重,試験片表面粗さに及ぼす影響について詳細に調べ,最適(最少)潤滑量を求めた.最少潤滑量(0.25〜0.75g/m^2)を供給することで,無潤滑加工と比較して,摩擦係数,加工荷重を約30%低減できた.加工後の試験片表面粗さは無潤滑の場合が最も小さくなったが,最少潤滑量を供給した場合も初期表面粗さよりは小さくできた.また塗装用のエアーブラシを改良してミスト噴霧装置に利用し,噴霧状態を安定させた状態で,ミスト微量潤滑におけるミスト状潤滑油の加工中のふるまいを調べた.さらに各種塑性加工における加工面圧,すべり量を上記で得られた結果と比較して,ミスト微量潤滑塑性加工の実用化について検討した. (3)ドライカッティングとドライフォーミングの比較実験 無潤滑加工の摩擦機構の力学的な解明を目指して,ドライフォーミング(無潤滑塑性加工)と実用化が進むドライカッティング(無潤滑切削)の比較実験を行った.塑性加工での加工速度と同程度の低速切削を行い,工具-試験片間を二次元モデル化して,切削動力計により測定された加工荷重,試験片の変形状態を詳細に調べた.比較実験の結果を基に,切削加工と塑性加工の無潤滑摩擦が統一的に取扱える摩擦モデルを考察中である.
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