研究概要 |
5軸制御マシニングセンタにおいて,所望の加工精度を得るために必要な幾何偏差の許容値を明らかにするために,以下の2項目について研究を実施した. (1)5軸制御マシニングセンタの運動モデルとCAMシステムの作成 国内外で市販されている5軸制御マシニングセンタを構造の特徴によって分類し,研究対象を6台に絞った.6台のうち,テーブル旋回形1台と主軸頭旋回形1台について,構造解析ソフトウエアおよび行列を用いた2通りの5軸制御マシニングセンタの運動モデルを作成した.それぞれの構造形態に合せて,ポストプロセッサを作成し,機能を基本的なものに限定したCAMシステムを構築した. (2)幾何偏差と工具先端の位置誤差との関係の解明 (1)で作成した運動モデルとCAMシステムとを用いて,研究対象としたテーブル旋回形の5軸制御マシニングセンタについて,マシニングセンタに存在する幾何偏差が,加工精度を決定する工具先端の位置に及ぼす影響を検討した.球面をボールエンドミルで加工する場合を例に挙げ,8種類の幾何偏差が別々に存在した場合に,旋回軸の設定角度によって,工具先端の位置の誤差がどのように変化するのかを調べた.さらに,加工位置が工具先端の位置の誤差に及ぼす影響を詳細に検討した.その結果,工具先端の位置の誤差は,位置偏差が存在した場合には,その影響を受けないが,角度偏差が存在した場合には,旋回軸の中心から加工位置までの距離に比例して,大きくなることがわかった.
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