研究概要 |
本研究では,環境配慮型砥石のボンド材料として,米糠から生成されるRBセラミックス粒子を使用した.RBセラミックス粒子を配合したボンド材料(砥石サンプル,砥粒無し)は,RBセラミックス粒子とフェノール系レジンの混合紛(RBセラミックス粒子:レジン=80(vol.):20(vol.))をホットプレスにより加圧焼結させた後,窒素雰囲気中で300℃,500℃および900℃の温度で,1時間の再焼成を行って試作した.なお,再焼成を行わない砥石サンプルも試作し,焼成温度の異なる4種類の砥石サンプルの電解特性を把握した.そして,電解後の砥石サンプルの摩擦試験を行い,製造条件の異なる4種類の電解被膜のトライボロジー特性を明らかにした.その上で,試作した3種類のRBセラミックスボンドダイヤモンド砥石を用いて単結晶シリコンのELID研削加工を行い,砥石の製造条件と加工特性の検討を行った.その結果,再焼成温度900℃では,電解被膜の比摩耗量および摩擦係数が高く(トライボロジー特性),加工面粗さ,砥石軸負荷も小さくなる(加工特性)ことを明らかにした.そして,再焼成温度900度において,#8000の砥石を製作し,単結晶シリコン及びSKD11のELID研削加工を行ったところ,それぞれ,3.4nmRa,6nmRaのナノレベルの加工が実現でき,鋳鉄ボンドダイヤモンドホイールに比べ良好な値が得られた.さらに,RBセラミックスボンドダイヤモンド砥石による加工面のEDX分析の結果,Fe, Moなどの金属成分は同定されず,金属汚染の懸念がない加工が可能であると確認した.以上より,本研究では,砥石試作前の段階の電解試験及び電解被膜の脱落性評価試験を経て焼成温度を決定し,砥石を試作後にナノレベルの表面加工が実現できた.また,この一連の砥石開発システムを利用して,新たに水草(ホテイアオイ,葦)を出発原料とした環境配慮型メタルレスのカーボン砥石の電解試験及び摩耗試験を行い,葦のトライボロジー特性が優れることを明らかにした.
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