研究概要 |
本研究課題では,近年,精度要求が激化するマイクロ非球面レンズ製造技術に対応し、情報技術を援用した新しいナノ精度加工技術を開発する.特に,φ数mm以下のマイクロレンズの開発を可能とするナノ精度加工システム・プロセス技術の確立を目指す.そのために,1.マイクロ非球面レンズ用射出成形金型の加工を行うためのナノ精度加工システムを構築し,2.更なる御小な砥石のツルーイング技術の構築と加工NCプログラムの補正加工技術の構築のための専用CAMの開発を行う. 小径非球面レンズ金型加工の技術開発を目的として,3軸同時制御による斜軸砥石加工とELIDマイクロ研削法の複合を試みた.その結果,形状誤差は有効範囲内でPV0.159μmを達成し,#1200ではRy32nm, Ra6nmという非常に良好な加工面が得られており,形状精度および表面粗さともに良好な超精密ELIDマイクロ研削加工を行うことができた.今後は鋳鉄ボンドダイヤモンド砥石の高い剛性と低摩耗の特性を生かした超精密加工機による3軸同時加工行い,更なる小径レンズの超精密加工を行う予定である、さらに,加工機に砥石軸を傾斜させるチルト軸を追加するとともに,高分解能を有するレーザー測長センサを適用した加工形状計測プローブとAFMとを搭載させ、機上計測を実施できた.加えて,微細砥粒砥石によるマイクロ研削を施すとともに,そのプロファイルと粗さを同一機上で計測し,そのデータを加工NCプログラムの補正に反映させる専用CAM(VCAM/ナノCAM)の開発も行った. 有限要素(FEM)シミュレーションにより砥石軸の変形による誤差の予測,加工された金型を用いた射出成形に対する射出シミュレーションは,基礎的なデータ収集に終わった.
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