当該研究では、固体および液体を主原料としたマイクロプラズマデポジション技術の開発に成功し、デポジション領域サイズの縮小化を目指した研究開発を行った。 ここでは、固体および液体を原料として用いるデポジション法に関して、開発した技術について簡潔に示す。 (1)固体(金属ワイヤー)を原料に用いたデポジション法 プラズマ発生用ノズル内に予め挿入した金属ワイヤーを、発生したプラズマからの熱伝導および誘導加熱により溶融もしくは気化し、ガス流によりノズルから噴出後プラズマ下流に設置した基板上に堆積させる技術である。酸素を導入した反応性マイクロプラズマと本方法とを融合させると、効率良く酸化物の合成、堆積が可能となることを明らかにした。タングステンワイヤーと酸素プラズマとの組み合わせでは、酸化タングステンが350μm/秒の高速で堆積されることを見出し、高速オンサイトデポジションの可能性を示すことが出来た。 (2)液体原料供給機構の開発およびデポジションへの応用 数十μL/min以下のオーダーで液体原料供給量を制御できるネブライザー(噴霧器)の開発に成功した。この装置は、内径が約10μmの石英ノズルからガス圧で漏出させた液体原料を、ノズルに対して直交方向に供給したプラズマガスで噴霧化し、プラズマ中に効率良く液体原料を供給することが可能である。デポジションへの応用では、フェロセン・エタノール溶液を0.012ml/分の速度で供給し、カーボンナノチューブ(CNT)の合成・デポジションをワンステップで行うことに成功した。 (3)他のマイクロプラズマに関する研究 マイクロプラズマ中に挿入した金属ワイヤー上に、カーボンナノチューブを成長させることに成功した。原料ガスの供給量・供給手順を変化させることで、カーボンナノチューブの配列を制御させることにも成功した。
|