研究概要 |
本研究の目的は、吸着分子膜のレオロジー特性を考慮した境界潤滑領域の摩擦特性を定量的に予測するために必要な境界膜の被覆率を測定することである。 境界潤滑膜の摩擦特性をあきらかにするために、ある条件(すべり速度,温度)の下で,吸着膜がどの程度の割合で接触面に存在するか(接触面での被覆率)を明らかにする必要がある。本研究では、軽荷重(mN, MPaオーダ)・極低速(μm/s)における被覆状態を、偏光顕微鏡システムによって,摩擦直後のしゅう動面を観察することによって測定する。また、従来行ってきた100%被覆している状態(LB膜類似吸着膜)の摩擦特性から吸着膜のレオロジー特性を推定することで,混合潤滑の総合的な摩擦特性を説明できるようになるが,そのための基礎的なデータを収集・整理することを考えている. 本年度はそのための準備として,まずモデル境界膜(LB膜類似吸着膜)の被覆状態(被覆膜の厚さ・被覆率)を測定するための予備実験装置として,既存の顕微鏡を改造した偏光顕微鏡システムの試作を行った.この偏光顕微鏡システムは偏光強度と偏光角の関係を測定することで,ブリュースター角測定およびエリプソメトリを行うことが可能である.偏光顕微鏡製作においては,光軸調整の精度向上および空間分解能向上などが課題となっており,来年度は正確なブリュースター角測定とエリプソメトリによる膜厚測定の分解能向上を行い,実際のしゅう動面観察に応用する予定である.
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