研究概要 |
ナノバブルを援用した高性能すべり案内の開発を目的に,本年度は以下に示す研究を行った. 流体潤滑領域にあるすべり案内をモデル化した潤滑油膜の可視化試験機を用いて,摺動方向に垂直な油溝を有するすべり案内の摺動面に発生する気泡と潤滑油中に混入する微小気泡の挙動を高速度カメラで撮影するとともに,その油溝の形状が微小気泡の挙動に及ぼす影響について実験的に検討した.その実験の結果に基づいて,摺動面に存在する微小気泡の挙動解明のモデルを提案した.次年度は,数値シミュレーションでこのモデルを検証するとともに,その結果から最適な微小気泡供給方法について検討する. つぎに,高性能すべり案内を実現するための基礎として,すべり案内の摺動面の表面粗さと摺動油動粘度が摺動摩擦係数に及ぼす影響を摺動速度との関連で調べた.その結果,最大高さでサブミクロンに仕上げた鏡面すべり案内面の摺動摩擦係数は,極低速域を除き,研削加工したねずみ鋳鉄製すべり案内面モデルと比べて著しく小さいこと,また摺動摩擦係数に及ぼすすべり速度の影響は小さいことが明らかにされた.さらに,鏡面すべり案内の場合,摺動速度の減少に伴って摺動摩擦係数が高くなる摺動速度は,摺動油動粘度が増大するにつれて低速度側に移動することが明らかにされた. ナノバブルを用いてすべり案内の摺動摩擦特性を改善するための基礎として,摺動面間に平均粒径0.3,2,3,5μmの微小粒子を添加することがすべり案内の摺動摩擦係数に及ぼす影響について調べた.5μmの微小粒子を添加した場合,摺動摩擦係数の摺動速度依存性は小さくなった.
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