研究概要 |
本研究の目的は,小型風力発電システムに対して,日本の変動する風況下における簡単かつ安価な制御システムの構築を行うことである.本研究では特に,風向・風速に対する最適な追従性について検討をおこなってきた.最終年度である本年は,昨年度の知見を利用した製品モデルを製作,実験を行った.以下に概要を示す. ■実証と次世代小型風力発電システムのための技術検討 昨年度までに,風向最適追従システム:スウィングラダー,風速最適追従設計:マルチスタガロータを理論的に検討してきた.そこで本年は,これらの風向・風速最適追従システムを一体化した製品風力発電システムAIRDOLPHINに装備した. AIRDOLPHINは,直径1.8m,最大出力3kW,耐風速50m/sを実現した小型風車である.本研究ではAIRDOLPHINを,東京湾埋立地に設置し,フィールド試験を行った.試験項目は風向・風速,ヨー角,回転数,発電量とした.試験は,IECの性能試験方法に準拠した計測を行っている. フィールド試験により,AIRDOLPHINでは,上記二つの機能を実現したことにより,飛躍的に総発電出力が向上し,かつ変動風に対する追従性が向上したことが示された. なお,別途東京湾で試験的に行っている遠隔通信システムを利用し状況の観測と監視を目的とした通信システムを導入し,遠隔観測制御の研究も同時に行った.その状況をWebサイトでもリアルタイム公開を行っている.
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