研究概要 |
円形ノズルから加熱流体が静止流体中に噴出される円形浮力噴流は、燃焼器や熱流体プラント等の工学機器の他に、ジェット騒音や煙突の排気等、環境・汚染問題に関係している。しかし、ノズル遠方の浮力の影響が大きくなるプルーム領域では乱流構造と浮力が強い相関を持つため、円形浮力噴流の解明には速度・温度の相互相関量が必要であり、その影響は十分に明らかになっていない。さらに、浮力噴流の熱の混合・拡散機構の解明には、乱流構造に着目した熱輸送現象の観察も必要であると考えて本研究を遂行し、以下の成果を得た。 (1)浮力噴流の熱・運動量輸送および混合機構を解明することを目指して設計、製作された浮力噴流風洞を完成させた。本風洞は熱発生装置と風洞(拡散胴,整流胴,ノズル)で構成されており、円形ノズルより鉛直上方に加熱気流を噴出することができる。 (2)本研究室で開発した温度流速計を用いて速度・温度場を計測し、浮力噴流風洞の基本性能を確認し、噴出口断面において平均速度・温度分布が一様の良好な場が形成できた。 (3)乱流相関量を計測する前段階として、渦構造の挙動を解明することが重要であり、浮力噴流中の渦構造をスモークワイヤー法による写真撮影、および、高速ビデオカメラによって可視化した。低温度の周囲流体と高温度の噴流の温度差、および、噴流の流速をパラメータに実験を行い、ノズル遠方の浮力の影響を強く受けるプルーム領域における渦構造の挙動、浮力噴流と周囲流体の混合過程における渦構造の役割、および、エントレインメントについて解明した。
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