| 研究概要 |
本研究の目的は,乱流境界層の自己相似性に対する壁近傍構造と境界層大渦構造の相互作用を明らかにすることである.
研究初年度においては,(1)乱流境界層の自己相似性を実現すること,(2)壁近傍場の流れ構造の計測を念頭に実験を進めた.まず,(1)乱流境界層の自己相似性実現のために,粗さ要素高さが流れ方向に成長する粗面上で発達する乱流境界層について,熱線流速計(I形およびX形熱線プローブ)による速度成分の計測および静電容量式変位計を備えたゼロ変位浮動片要素直接測定装置による壁面せん断応力の測定を行った.その結果,局所壁面摩擦抵抗係数の値が運動量厚さに基づくレイノルズ数ならびに流れ方向距離に独立となること,境界層厚さが流れ方向に直線的に発達することを確認した.また,流れ方向平均速度・乱流量(乱れ強さおよびレイノルズせん断応力)分布が相似となることを明らかにした.
次に,(2)壁近傍場の流れ構造の計測を行うために,新たに熱線プローブの製作を行った.これは,粗面近傍場でははく離による逆流成分を含む流れとなっているため,順流・逆流の計測を可能とさせるためである.プローブはタンデム型で,二本の熱線間はゲージ接着剤で接着されたものである.このプローブを用いて,壁近傍場の流れ計測を行い,粗さ要素間溝内部の流れパターンの確認と溝内部渦の存在を明らかにした.
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