研究概要 |
電気絶縁性の媒質中に誘電体である固体粒子を分散させたコロイド溶液に電場を印可することで形成される特異な流動の一つである回転流動により形成される渦群をマイクロボルテックスとして着目し,混合・分離デバイスに必要不可欠なマイクロボルテックス形成に関する流れの基本特性を解明するとともにその諸条件を明らかにした.顕微鏡とCCDカメラを併用したマイクロPIV計測と動画観察によりマイクロボルテックスは高電場強度,低電場周波数条件下において形成されることが明らかにされ,特に形成に対して電場印可時に誘起される電極方向に向かう流動がこれらの形成条件を左右することが明らかにされた.また,流動特性に及ぼす粒子分散型機能性流体粒子濃度および粘度の影響を明らかにしマイクロボルテックス形成と共試流体の特性に関して明らかにした.粒子濃度変化は,c=1〜8wt.%では流動様相,クラスタ形成様相へ及ぼす影響は小さく,マイクロボルテックス形成に与える影響は小さいことが明らかになった.ただし,極低粒子濃度0.2wt.%ではマイクロボルテックス流動形成に必要な十分な速度のせん断流を有する往復流動が形成されにくいため,c=1〜8wt.%とは異なる形成条件やクラスタ形成様相となる.溶媒濃度変化に関しては,溶媒粘度増加にともないその形成条件がより高い印可電場条件へと移行することから,電場印可時初期に形成される流動は溶媒粘度特性に依存し,マイクロボルテックス形成条件も溶媒粘度変化に影響を受けることが明らかにされた.
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