研究概要 |
建物等の構造物端壁近傍で生じる剥離流れを有効に利用し,クロスフロー型風車を用い高い稼働率および高出力で利用することを目的として,平成16年度において,以下のような研究を実施した. 1.クロスフロー型風車供試模型の設計・製作,加えて構造物端壁部で生じる剥離流れを模擬するための構造物端壁モデルの製作を行い,構造物端壁部における風速分布測定および構造物上に設置した風車の出力性能試験を行った.その結果,構造物端壁部に設置された風車の性能は,一様流中の条件に比べ,高い出力特性を示すことが確かめられ,風速分布測定では,端壁部で生じる剥離流れを有した流れ場を,クロスフロー型風車により有効に利用できる可能性が確認できた. 2.構造物近傍で生じる流れ場をクロスフロー型風車に適した流入条件に改善するために,剥離流れを風車流入部に適した状態に変化させるための誘導板および風車回転に寄与する受風面への流入を改善するための偏流板を導入し,その検証を行っている.現在までに数種の取付角などの条件について,出力性能試験および誘導板・偏流板近傍の風速分布測定を実施した.その結果,誘導板については,誘導板出口端の位置が,構造物端壁部のみの条件で生じる剥離域の境界の位置に対して食い違いがある場合において,形成される剥離域の境界を誘導板により部分的に変化させ得る可能性が確かめられた.また,偏流板についても,取付角を流れ方向に対して,ある角度を設けて設置することで,風車の位置する方向へ流速の高い流れを誘導することが可能となり,剥離域も構造物側へと抑制できることが風速分布測定により確かめられた.また,出力性能試験においても,誘導板および偏流板により高い風車出力特性を示す結果が得られ,誘導板および偏流板による風車流入条件の改善の可能性が確認できた.
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