研究概要 |
本研究は,マイクロガスタービンなどの分散電源において重要となる高温コンパクト熱交換器を念頭に,新しい拡大伝熱面形状としてスプリング(つる巻きバネ)の利用を提案し,その伝熱性能についての基礎データを蓄積し,有効性を示すとともに伝熱機構を解明することを目的としている.スプリングは材料の選択肢が多く高温熱交換器にも対応可能であり,また幾何形状の制御が容易で,大量生産が可能であるため低価格化も見込まれる.これらの利点に加え,スプリングフィンはその形状から主流方向のフィン自体の熱伝導を抑制することができるため,マイクロガスタービン用再生器のように90%を超える高い温度効率が要求される熱交換器に適する.初年度は,単一の矩形流路に素線径・巻きピッチ・素線断面形状などの幾何形状を制御して特注した種々のスプリングをフィンとして挿入し,非定常実験の一種である改良シングルブロウ法によるフィンの伝熱性能の評価と,圧力損失の測定を行った.その結果,幾何形状が一定のスプリングであっても,テストセクション内での配置方法によってその伝熱性能は大幅に変化することがわかった.これはスプリング形状の異方性に起因していると考えられる.計測を行った範囲内では,スプリングの軸が主流方向と直角になるように設置した場合に良好な結果が得られた.また,この配置を採用した場合でも,スプリング素線径や巻ピッチによって性能は大幅に変わること,巻ピッチを素線径で除したピッチ比によって,伝熱性能はおおむね整理できそうであることなどがわかった.同一ポンプ動力における熱交換量で評価した場合には,ピッチ比が小さくなると,既存のオフセットフィンを超える場合があることが明らかとなった.
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