研究概要 |
(1)研究の概要 ジメチルエーテル(以下DME)は燃焼時に硫黄酸化物やすすを発生せず,また,EGRなどとの組み合わせによりディーゼルエンジンからの窒素酸化物の排出量を大幅に低減できるため,将来的にはディーゼル自動車用燃料,電力用燃料及びLPガス代替燃料,燃料電池用燃料など幅広い用途に利用可能な新エネルギーとして期待されている.このような背景から燃焼分野においてもDMEを用いた実用低公害燃焼器の効率的な開発が求められており,このためにはDMEの基礎燃焼特性および反応過程を調べる必要がある.しかしながらそのような研究はこれまで少なく,申請者が知る限り最近Simmieらの研究グループが測定した層流燃焼速度のデータがある程度である.申請者はこれまでガス燃料の基礎的燃焼特性の把握と最適な燃焼手法の開発に関する研究を行ってきた.以上の背景から本研究ではこれまでに他の燃料において実績のある実験装置ならびに手法を用いて,次世代代替燃料として有力なDMEの基礎燃焼特性を解明し,その結果に基づき最適な燃焼手法の検討を行った. (2)研究成果 本研究では実際のエンジンを模した定容燃焼器を用いてDME燃料の層流燃焼特性を調べてSimmieらの研究グループと同程度のデータを得た.得られたデータをCurranらの反応機構を用いた数値計算結果と比較し,反応機構の修正を提案した.さらに同じ定容燃焼器をもちいて乱流燃焼特性を調べ,他の炭化水素と比較した。その結果,DMEはエタンと似た傾向があることが分かった.そこでその燃焼機構を検討し,ルイス数が乱流燃焼機構に重要な役割を果たすことが分かった.一方,火炎伸張の影響を詳細に調べるため対向流バーナーを制作し,消炎実験を行った.
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