研究概要 |
グラファイト表面上を移動する水液滴に関する分子動力学法シミュレーションを行った.水分子にはSPC/Eモデルを用い,グラファイト内の炭素原子の相互作用はBrennerポテンシャル(面内共有結合)とLennard-Jonesポテンシャル(面間結合)で表現した.水分子とグラファイトとの相互作用は水分子内の酸素原子とグラファイトの炭素原子との間のLennard-Jonesポテンシャルで表した. まず,平衡状態における水液滴の接触角を計測したところ,125°であった.その後,水液滴に50m/sから200m/sの速度を与えて,グラファイト面上を移動させた.液滴の速度はほぼ直線的に減少していき,減速速度は10^<11>m/sとなった.移動中の液滴の接触角は,115°あるいは118°となり,平衡状態よりも小さくなった.液滴第1層目の構造を平衡状態と移動時で比較したところ,平衡状態では層内で水素結合を結ぶ水分子がおおく,移動時では少なくなっていた.層内での水素結合が減り,液滴と1層目の間の水素結合がふえることにより,接触角が小さくなったと考えられる.さらに,前進接触角・後退接触角の違いは見られなかった. また,グラファイト面上のメタノール液滴・エタノール液滴の分子動力学法シミュレーションを行った.分子間ポテンシャルはOPLSモデルを用いた.メタノール液滴はグラファイト上に完全に拡がってしまい,接触角を計測することが出来なかった.
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