研究概要 |
本年度は,6突極型磁気軸受の消費電力の低減,および制御システムの簡略化のために,最小エネルギ制御を提案し,実験によりその有効性を示した.最小エネルギ制御は,ステータでの銅損が最小になるようにコイルに流す電流を計算する方法で,この制御方法を用いることで従来の制御方法より最大で約1Wの消費エネルギを削減し,定常状態での消費電力をほぼゼロにすることに成功した.また最小エネルギ制御では,各コイルの動作領域が第1象限のみとなることを利用し,駆動アンプのチャンネル数を6から3に削減することに成功した.またチャンネル数を3とした場合においても,6とした場合と同様の制御性能を持つことを実験により確認した. また有限要素解析ソフトANSYSを用いて,磁気軸受の磁場解析を行い,設計上の軸受力特性と実機の軸受力特性の違いの原因を明らかにした.本研究では,コイルスペースを確保するために,ステータを分割構造としているため,分割したコアとコアの間に隙間が生じ,その影響により軸受力が低下していることが明らかになった.今後,より高精度での加工を実現すると共に,ステータの構造を見直し軸受力の低下しにくい構造を考案する必要がある. さらに変位センサの小型化のため,インダクタンスの変化を利用した小型変位センサを考案し,有限要素解析により,センサ特性の検討を行った.その結果,センサとして十分に利用可能であることが確認できた.現在,実験装置を試作しており,今後,実験によりセンサ特性を検証していく予定である.
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