研究概要 |
本年度には,汎用性,移動速度,脚の可動範囲の3つの面を考慮し,機構解析プログラムDADSによる作成された3DのCAD力学モデルに基づき,歩容の安定余裕理論および普通の階段を昇降できる脚の長さの要求などによって1脚3自由度である6足歩行ロボットを設計,製作した.また,全身3自由度バーチャル力学モデルに基づいたサーボ型6足歩行ロボットのサスペンションのスライディングモード制御を提案し,サスペンションのトレンドオフの問題を解決したことと共に,ロボット脚の力制御,及び胴体の姿勢と振動の制御を実現した.3DのCAD力学モデルベースのシミュレーションおよび実機を用いた実験によって本手法の有効性を明らかにした.この研究成果は2004年8月アメリカのワシントン大学で開催された第7回「運動と振動の制御」国際会議にて発表された. サスペンションのサーボ型スライディングモード制御はよい胴体姿勢を得られたが,制御器はスライディングモードに到達しなかった.そこで,本研究は上記の研究成果に基づいて振動抑制の観点からモード座標に基づくスライディングモード制御を試みた.これはバーチャル力学モデルに基づいたロボット胴体の状態方程式では状態変数が不可制御だったのに対し,モード分離することにより状態変数行列が対角正準系になり,状態変数が可制御になる.実験の結果により制御器がスライディングモードに到達でき,スライディングモード制御の特徴が出ていることが分かった.この研究成果は2005年8月第19回バイオメカニズム・シンポジウムにて発表する予定である.また,本年度の研究成果をまとめて学術雑誌への投稿論文を準備しているところである. 上述のような6足歩行ロボットを対象としてバーチャル力学モデルに基づく多足歩行ロボットの支持脚の力制御および胴体に関する姿勢・振動のロバスト制御を実現したことは,多足歩行ロボットの歩行技術研究にここまでの1つ空白の研究として重要な,新たな知見を与えた.
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