研究概要 |
本研究では目的として,複数制御モードからなる各種問題に対し,非定常最適制御や関連する手法の適応能力を飛躍的に向上させるための制御器設計論を展開することとしている.その上で,特に重要な応用対象と思われる人間-機械系の制御問題への具体的な応用方法を確立することがさらなる目的となっている.以上の目的を踏まえ,本年度交付申請書における研究実施計画では,次の2点の実施を予定した.第一点は,人間-機械系のための非定常的な制御手法の具体的設計法を明らかにすることである.特にその本論に進む前に,人間-機械系の制御に不可欠である,異常状態を検出して人間,機械双方の安全を確保する工夫を制御器設計に含めるための検討を本年度は重視した.第二点は,非定常最適制御や関連する手法の実問題への適応能力を飛躍的に向上させるための制御器設計論の展開である. 上記第一点目の内容については,モータの電流推定機能を用いた,パワーアシストシステムのためのソフトウェア的な異常状態検出およびその後の対処を考慮した制御手法の一つを提案し,その有用性を実験により明らかにした.本手法はソフトウェア上の簡単な変更のみで,研究代表者が従来提案した2自由度制御系に基づくパワーアシスト制御系に容易に付加できる.第二点目の内容については研究代表者がこれまでに提案していた,時変Riccati方程式を順時間方向に解く効率的非定常制御手法の特長を利用し,制御対象のパラメータ変動等に対する適応性を付与した適応的非定常制御手法を提案した.本手法についても,時不変振動系ならびに時変振動系の位置決め制御問題を例として適用し,その有用性を数値計算および実験により明らかにした.本内容の一部はすでに日本機械学会論文集C編への掲載が決定している.
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