研究概要 |
平成17年度においては,平成16年度に引き続き,超柔軟要素を用いたマニピュレーションの一例として,投射・巻き付きによる捕獲マニピュレーションに関する研究を行ったほか,超柔軟マニピュレータのフィードバック制御のために不可欠な,状態計測の方法についても研究を行った. 投射・巻き付きマニピュレーションにおいては,昨年度はシミュレーションのみによる解析だったが,今年度は実験とシミュレーションの整合性をまず確認し,シミュレーションモデルが実際の系の運動を十分な精度で現していることから,シミュレーション解析をもとに構築した制御法が有効性を持つことを確認した.特に投射運動において,擬似エネルギ関数を定義し,巻き付きの成功/失敗がエネルギを効率よく超柔軟マニピュレータ全体に伝えられるか否かに依存していることを明らかにし,先端の水平位置や,根元における張力からフィードバック制御により,任意の振幅でのスイング運動を与える投射運動の制御法を示した. また,超柔軟マニピュレータの状態計測法に関しては,ビジョンによる離散点の計測による,離散モデルにおける慣性モーメントと関節の粘性係数といった定数パラメータの同定と,さらに計測データと,シミュレーションモデルとの照合により,より確からしい加速度を含む状態推定法を確立した.本方法により,比較的粗さのある計測系でも,高速で複雑な運動を行いうる系を十分高い精度で,その状態を知ることができる.この方法は,超柔軟系のみならず,動力学特性がある程度既知であるような多自由度系の運動計測に応用できると考えられる. 上記に加え,家庭でのサービスロボットを想定した,超柔軟ロボットシステムの開発にも着手している.本システムに関しては,まだ開発途中であり成果発表等は特に行っておらず,コンセプトデザインのみを一部で示したのみであるが,平成18年度においてはそうしたロボットの一例を開発し,成果発表を行う予定である.
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