本研究の目的はホームサービスロボットによる収納システムの開発である。それを実現するためにまず次の2つの技術を研究する。1つめは、通常はコンパクトであるが、作業するときには、床の上の低い所にある物も棚の上の高い所にある物も操作できるように可動範囲を変化させることのできる伸縮ロボットアームを開発することである。2つめは対象物にRFタグ(電波を送信することで充電し情報を返信するタグ)を埋め込んでその物の情報を管理し、電波の強度などからその物の位置などを検出するシステムを開発することである。 伸縮アームについては、関節を駆動するのに必要な出力の半分をまかなう小型モーターを2個使用して、関節の回転と伸縮を遊星歯車と2段のネジ送り機構により干渉で駆動するコンパクトな機構を考案した。この関節を用いて、根元から伸縮できる関節が3個と通常の手先の関節3個の合わせて6自由度のアームを設計・試作し、それぞれ運動がスムーズに実現できることを確認した。また、伸張時に関節負荷が大きくなる自重をある程度キャンセルするガススプリング機構を組み込んだ。 RFタグによる位置検出システムについては、RFタグから発信される電波の強度を検出する3軸アンテナを設計、試作した。RFタグの位置姿勢とアンテナ部における電波の強度ベクトルの関係を定式化し、測定された電波の強度ベクトルから最急降下法を用いてタグの位置姿勢5変数を推定できることを示した。
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