研究課題
本年度は提案する可変弾性対象物を医師の乳ガン触診シミュレータとして応用することを試みた。具体的には、まず、3次元グラフィックソフトを用いて乳房の形状設計を行い、3次元加工機により切削加工した。これを空気式パラレルマニピュレータ上に力センサを介して装着した。次に、形状モデル表面上の接触点検出性能について考察した。接触点検出方法として、力覚情報と乳房形状モデルのCADデータ(DXFデータ)に基づいて接触点を検出するアルゴリズムを提案した。本手法の有効性を確認した結果、検出精度は最大約2mmであり、ほぼリアルタイムに接触点を検出できることがわかった。次に具体的なしこり特性を実現するため、まず市販の触診シミュレータを購入し、そのしこり部の力学特性(機械インピーダンス特性)を測定した。具体的なしこりの力覚特性を指に呈示するための基本的な力覚呈示機能として、マニピュレータ部にコンプライアンス制御系を構成した。本制御系では力が印加されないときは通常の位置制御を実行できる位置ベース型のコンプライアンス制御系を採用した。具体的なしこりの形状は簡単のため球とした。そして、指の空間位置としこり(球)との相対的な位置関係に基づいて、しこりの力覚特性を呈示するアルゴリズムを提案した。具体的にはしこり部表面の法線方向と接線方向に仮想的な弾性特性を設定し、指がしこり部と接触している場合に現在の力ベクトルに基づいて仮想的な目標位置を計算する。これを内部の位置制御系により実現することで設定した仮想弾性特性を実現する。実験より、力覚の変化を介して球の表面を確実に認識することが確認された。また、しこりの位置、大きさ、弾性特性を対話的に変更する手法を実装した。以上より、提案する装置は触診シミュレータとして有用であることが確認された。
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Proc.of the 6th JFPS International Symposium on Fluid Power 2005, pp.220-225
ページ: 220-225